とりおたです。
ご来光も撮って(ちゃんと写ってるのかはわかりませんが)お弁当を受け取り、お世話になりました!と挨拶をして小屋をあとにします。
一泊と夕食朝食、お弁当までつけて9700円です。めちゃくちゃ不便なこんなところでやっていることを考えたら、すごい格安なのではないでしょうか。
問題は、山頂を目指さずさっさと下山する場合でも、少し登らないとならないということです。
その分岐で、そのまま下山するか、山頂に立ってから肩の小屋側から下りるか。
同じ道も飽きるなと思ったのと、肩の小屋側のほうが歩く距離が短いのではという感じがしたので、そちらを、目指します。
稜線上は風が強く、写真を撮ると、iPhoneを吹っ飛ばされてしまう気がしたので、とりあえず写真を撮らずに、また一歩、一歩、ふうふういいつつ登ってゆきます。
風向きが、山側に吹き付ける方向でしたのでまだ助かりました。体力のない私は、道々休憩したいのですが、風が強いのですぐに体が冷えてしまい休むこともままなりません。
仕方ないので、超スローで登ることに。
登山の本が好きでよく読んでいました。山の上では軍手1つでもとても貴重。というのを思い出しました。風で軍手を飛ばされるだけでピンチになると。
手袋がなくてもまあ耐えられる程度の寒さでしたが、岩につかまることも多いため、素手ではないほうがよいと思ったので、手袋を飛ばされないよう特に注意を払いました。
これを読んで北岳に行ってみよう!と思った方は、夏でも手袋を持っていくとよいかもです。
一歩一歩ため息をつきながら動いていますと、この寒い中をひょいひょいと軽やかに登ったり下ったりしている人達に出会います。「これから、間ノ岳まで行くんですよ。」そしてさっそうと歩いてゆきます。
間ノ岳、行ってみたかったな。
でも、最短でふもとを目指しても、最終バスに間に合うか不安でした。とにかく今日は無事に帰ろう。
そんな状況でも富士山があまりに美しいため、蛇腹カメラのメスイコンタを取り出し、数枚撮りました。
そして普通の人の二倍くらいの時間をかけてついに山頂に。
過去4回北岳に来ていますが、最後の4回目は、11月2日に登ったのです。道が所々凍っていて、肩の小屋までは、氷を避けながらなんとか登れましたが、そこから山頂までの道は岩が凍ってツルツルになると手に負えないと思い、そのまま小屋からの下山でした。
なので通算4度目の登頂です。
あんまり嬉しくなかったのは、帰り道の心配があまりに大きかったからかもです。
あんまりのんびりせずに下を目指します。
こんな感じの道を下りてゆきます。風はだいぶ弱まってきました。
下りでもかなり汗をかきます。山小屋で、2リットルのペットボトルに満タンの水を頂いてきています。
ガブガブ飲みたいですが、それをやるとすぐなくなるので、ちょっとずつ飲みます。
一歩一歩下りるうちに、ああこれだったら、今日は大丈夫そうだな。と思って、気楽に下りることができました。
そして肩の小屋に到着です。
雪が積もった富士山も、もちろん素晴らしいのですが、こうやって高い山から見て、青空と一緒に青くなっている富士山もとても好きです。
これは下界では見ることができません。
肩の小屋の外にあるベンチで少し休憩です。
だんだんとつま先が痛み出しています。
ヤフオクで中古で買って、ちょっとサイズがきつかったこの靴。大事に手入れをして履いていますが、サイズだけはいかんともしがたく、ここへ来て一番大きな不安となりました。
三つ峠くらいの山ですと、多少痛んでも、痛いなと思う頃にはもう下山できている感じでしたので、ほぼ問題なかったのですが、これだけの長い距離と傾斜があると、やはり厳しかったということでしょう。
一歩歩くごとに激痛。
4回目の北岳登山で使った靴が素晴らしく、この急な下りを軽やかに下りて、どこも痛みを感じないというものでした。
写真を一度やめたときに、写真をやらないなら山にも登らないと、オフハウスに出してしまいました。
カメラを処分したことには後悔はないのですが、この靴を手放したことだけは今でも悔やんでいます。イタリア製の靴だったようですが、会社名まで覚えていません。
とくに衝撃吸収が素晴らしかったですね。
あの靴があれば。そんなことばかり考えてしまいますが、今はこの靴と、この体だけでなんとか下りないとなりません。
とにかくゆっくり下りることだな。バスは最後のやつに間に合えばいい。そう腹を決めて下り始めます。
肩の小屋からしばらくは、傾斜のあまりない道が続きます。ここ、のんびり歩けてとてもいいな。
そして眺めもなかなかいいです。
甲斐駒ケ岳。ここもいつか登ってみたいです。黒戸尾根から登ると、北岳以上の難度だと聞いています。広河原から北沢峠経由だと、そんなに苦しまずに行けると。
体力もないくせに黒戸尾根から行きたくなります。
仙丈ケ岳です。iPhoneで撮ると実際よりコントラストがついてしまい、雲の影がだいぶ実際より暗いです。想像で補って見ていただければ。
のんびりいい景色を堪能しながら歩いていると、急な下りに突入です。
つま先が痛いので、長く歩けず、しょっちゅうリュックを降ろして休憩です。
山頂付近が寒かったため厚着をしていて、それが邪魔になってきましたので、ゆっくり着替えをしてくつろいでいたら、下からすごい勢いで登ってくるお兄さんが。
「こんにちは!いやー いい景色ですねぇ!」「すごい元気ですね!」「いや、カラ元気っす!この山きついっす!」そしてまた元気に登ってゆきます。
ここは、ツワモノたちが集まるところですね。
今日もテントを背負って行く人たちにも出会います。
すごい。
がんばって下ります。
富士山の下の部分は紅葉して、杉の木と紅葉した木々が混ざってとても美しいのです。が、スマホの写真ではそれを出せませんでした。
さらに下ってゆくと富士山は見えなくなります。
そこから痛みがさらに増してきました。
これは、靴を脱いで休憩しているときに見えた光景です。
ふうふう言いながらおりてゆくと、遠くに雷鳥が見えました。
写真ではわかりにくいかもですが、画面中央に雷鳥らしき鳥が見えますでしょうか。
なんで動かないんだろうと不思議に思いつつ近づいてみたら、なんと雷鳥っぽい木の枝でした。
近くの写真も撮ろうと思っていたのですが、ころっと忘れました。
この辺から痛みが限界を迎えたため、靴を脱いで考えこみます。
ん?もしかして、インソールを抜いてみたらどうかな?スペースができる。
早速インソールを抜いて、また歩き出します。
確かに、つま先の痛みは軽減しました。(全く痛まないということではないですが) しかし、今度は、衝撃が吸収できないため、足の裏が痛くなります。
20代の時に椎間板を痛めたため、今でも長時間立っていると足の裏がしびれてきます。それのせいもあるのですが、足の裏の痛さの方がつま先の痛みより勝っている感じが。
しかたなくまたインソールを戻し、休み、休みしながらどうにかこうにか白根御池小屋までたどり着きました。
小屋付近で撮ったものだと思います。このへんはもう、無事にたどり着くことしか頭になくなってきました。
行きの乗り合いタクシーで一緒になった方がサクサク先に降りて、ちょうどお昼を、食べ終えてこれからふもとに向かうところでした。
「足が痛くて下までいけるか不安なんです」「大丈夫ですよ あんな高いとこまで行ったんだから」そんな会話をして見送りました。
山小屋で用意してもらったお弁当を頂きます。海苔巻きと、いなりずしですね。あわててパクパク食べて、なんとか2時台のバスに乗れるようにと思って歩きます。
樹林帯は傾斜がきつかったなと登りで思ったので心配でした。しかし、岩場よりは土のほうが着地のショックが若干小さいので、おっ!これはいけるかも。と思ったのもつかの間。
歩いて行くと痛みがさらに増し増しです。
ここで足りない頭を駆使して考えます。
つま先に重心が行っちゃうから、当たって痛いんだよな。無理あるけど、かかとから着地したらどうだろう。
まあ、痛まないわけではないですが、多少ましです。しかし傾斜が急なため、そのあとずるっと行ってどうしてもつま先に当たってしまいます。
休み休み考えます。そして思いついたのが
必殺カニ歩き作戦
スキーのときに、スキー履いたまま斜面を登るときに、スキーを横にしてカニ歩きして登る登り方があります。この動作で下ってしまう。
つま先に体重がかかりにくくなるので、多少楽なのではないかと。
何このオヤジはカニ歩きしてるんだろう?バカなのか?と思われても別にいいやと思いながら歩いていましたが、そもそも火曜なので人が少ない。
問題の痛みですが、カニ歩きでも全く痛まないわけではないですが、5分持つ感じです。
カニ歩きで頑張り→足がしびれたら座って、しびれが回復するのを待つ→またカニ歩き
このサイクルで、徐々に徐々に高度を下げて行きました。
痛みに耐えるだけで、本来楽しいはずの山登りを、難行苦行にしてしまったな。と後悔が押し寄せてきます。
でもブログのネタになった面もあります。
もう痛くて限界!と何度も思いつつ、だましだましおりてゆき、もうほとんど下りたというところで、さっきの元気なお兄さんが快速で降りてきます。
「あれ?さっき会いましたよね?」と声をかけると、もう記憶がないとのこと。「上まで行って一気に降りてこられたのですか?」「はい!この山初めて登ったけどきつかった」
そうおっしゃいますが、この速さで日帰り登山。
おそろしい。
やはりここはツワモノの集う場所ですね。
あ、樹林帯で、一枚だけ撮りました。
快速お兄さんと乗り合いタクシーで楽しく話をしながら帰りました。なんと、もっともっとツワモノがいるんだそうです。
「俺、前に北岳に来た時、雪が積もってて風も強くてさ。こんなとこ突っ込んでったら危ないと思って、撤退することにしたの。そしたら、すごい量の荷物を背負って、雪降ってるのにTシャツで、身体から湯気出しながら登ってくる人がいるの。
で、これから俺縦走だから。雪があるけど、12本があるから大丈夫だ って言って一人で登ってくんだよ」
「あーそういうのを山バカって言うんですかね」
どんなに体を鍛えても、きっと同じにはなれないでしょう。でもそんなすごい人に憧れる気持ちはありますね。
とってもとってもきつかった北岳登山。辛い時は、なんでこんなとこに来てこんなことやってるんだろう?という気持ちになりますが、帰ってくると、楽しい思い出ばかりが蘇ってきます。
登りよりもしんどい下り
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2 件のコメント:
とりおたさん、お疲れさまでした。ものすごい難行苦行だったんですね。iPhoneの写真を見るだけでも、現地に行かないと取れない写真ばかりですね。これは現像上がるのが楽しみですね~
とにかく無事で何よりでした。
ふうたさんおはようございます。コメントありがとうございます(^^)
体が弱っているのに無理やり行ってしまったことがもうダメダメだったという^^;
露出はiPhoneの無料アプリの露出計で測ったのですが、苦労して撮りましたのでちゃんと写っていて欲しいです。頼りにしていたトイラボさんが、ブローニーのリバーサルの現像をやめてしまったとのことで、今回は「なら写真クラブ」というところに初めてお願いしました。評判はとてもよいようですね。楽しみです。
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